透明水彩で描く艦これイラスト メイキングオブソロモンの鬼神さんPart3

パート3・ようやく人物に着手しつつ全体のバランスを探る

 前回までで背景がおおよそ出来上がって光の具合が解りやすくなってきたので、このあたりでいよいよ主題の綾波の塗りに入ります。で、綾波を塗りながら全体的に仕上げていく事にします。

12・やっぱりまずは下塗り
・背景の時と同様に、まずは下塗りから始めます。周囲の炎に照らされているので全体的に黄色系で塗っていきます。ここではウィンザーアンドニュートンのサンシャインイエローを使用しています。
 あと、背景の炎の部分のマスクをはがしています。




13・下塗りで大雑把に色分けする
・ウィンザーアンドニュートンのオレンジを使用。髪や制服の茶色部分、艤装などを塗って行きます。右手の連装砲、左足の魚雷発射管、そして背後の主機は全て逆光になって影が落ちた状態になる事を気に留めておきます。




14・さらに色分け
・ドクターマーチンのインディアンイエロー、ゴールデンブラウン、ホルベインのキナクドリンゴールド等を使って綾波の肌や髪、服を塗って行きます。このあたりから少しずつディティールを付けていきます。




15・艤装部分の塗り分け
 綾波はイエローやブラウン系の色を基本に塗っていますが、艤装は赤系をベースにして区別します。ウィンザーアンドニュートンのディープレッドを重ね塗りして暗い印象にしていきます。




16・そろそろ本塗りに入ります
 主にドクターマーチンのオレンジ(No.5の方)やホルベインのイソインドリノン・イエローディープ、キナクドリンゴールド等でで肌を塗っていきます。綾波が全体的に黄色っぽくなりすぎに見えて、これで大丈夫なのかと心配になりますが、自分を信じて続けます。




17だんだんそれっぽくなってきました
 制服のスカートや襟といったやや彩度の高い茶色部分は主にドクターマーチンのコーヒーブラウンを、髪や瞳など彩度の低い茶色部分にはホルベインのイエローグレイやアンバー、バーントアンバー等で塗っていきます。ようやく綾波っぽい色合いになってきたかなとほっと一息。




18・セピアで影を落として引き締めます
 別に縛りを入れている訳ではないのですが、今回の絵では黒を一切使っていません。ですので一番暗い部分に使う色は青系ならペインズグレイ、赤系ならセピアとなります。セピアはそれ単体で使うよりもっと彩度の高い別の色の上に塗り重ねて使う方が綺麗な色になりますね。このあたりで綾波の方も大まかに出来上がってきましたので、ここからは全体のバランスを見ながらの仕上げ作業に移っていきます。




19・主題と背景を併せてディティールアップしていく
 全体の影や色合いを整えつつ、ディティールアップしていきます。艤装は主にセピアで、肌はイソインドリノン・イエローゴールドやカドミウムオレンジにカドミウムレッドライトを少し加えたもの、後バーントシェンナなどで、背景の炎もイソインドリノン・イエローゴールド、キナクドリンゴールド、カドミウムオレンジ、バーントシェンナ等で明暗を付けてそれっぽくしていきます。




20・さらに炎に影を落としていく
 バーントアンバーやセピアで炎の中にさらに暗い部分を作っていきます。大破した主機が炎と黒煙を噴き上げている様子を描きたいのと、あと最も明るい光源である右手の連装砲から噴き出す炎を際立たせることが狙いです。




21・アクリルも使って煙を描き足していく
 画面左側、セピアで吹きあがる煤っぽいものを描き加えたら何かそれっぽくなってくれました。あと右側奥がスカスカだったのでアクリルガッシュで煙を描き足す事にしました。ここではまずリキテックスのアンブリーチドチタニウムで煙の炎の明るくなっている部分を描き、ホルベインのペインズグレイで影になっている部分を描いています。




22・アクリルで炎の照り返しを描き込んでいく
 画面右奥の煙の、炎に赤く照らされている部分を描き込んでいきます。リキテックスのバーントシェンナ、次いでレッドオキサイトと、これまでとは逆に暗い色から塗り始めて明るい色を重ねていきます。これまで描いてあった炎の輪郭をぼかすようにして、赤い光が周囲に広がって見せたい訳ですが、はてさて。デジ絵であれば赤かオレンジ系の色をオーバーレイで塗るのですが、それをアクリルでやっている訳です。できればこういう効果も含めて透明水彩オンリーで描きたかったのですが、私にゃとてもそんな技量はありません。いつか出来るようになれればいいんですがねぇ・・・。




23・最後の仕上げ
 右側奥の煙部分にはリキテックスのイエローオレンジアゾやホルベインのカドミウムオレンジなどの明るい色を差して整えます。不透明水彩であるアクリルガッシュと違って、透明水彩は基本的に暗い色を明るい色で塗りつぶす事はできませんが、全くできないかといえばそんな事はありません。透明水彩も顔料なので色によってはある程度下の色を「塗りつぶす」事が出来ます。
 あとは手前側の炎や綾波の傷の部分などを描き込んで完成です。上の画像は上下に張ってあったマスキングテープをはがした状態です。




24・これで完成ッ!!
 最後にパネルからはがし、目的の寸法にカットして完成です。



25・撮影と調整
 絵自体はこれで完成ですが、あと一つやる事が残っています。ネットに投稿する為にこの絵をデータ化しなければなりません。A4サイズまでならスキャナーで読み込む事が出来たのですが、このイラストはB4サイズなのでデジタルカメラで撮影しています。これまでの途中工程の写真は普通に手でカメラを持って撮影していますが、最後完成したものを撮影するときには手ぶれに用影響を避けるために三脚でカメラを固定し、セルフタイマーを使って撮影しました。他にもカメラの取説片手にシャッタースピードやらISO感度やらを調整してどうにか撮影しましたが、結果としてスキャナーで読み込むよりも鮮明な画像として取り込む事が出来たように思います。とは言え、得られた画像はモニタで見ると随分と暗いものになってしまっていましたので、Photoshop上で「露光量」などを調節して肉眼で見たときに近い明るさ、色合いに調整する事が必要でした。本職の人であれば色々なテクニックを持っているのでしょうが・・・。


 ともあれ、これで本当に完成です。ここまでご覧になってくれた皆様、拙い記事ではありましたが読んでくれてありがとうございました!



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